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収益性とマージン

パティスリーの原価率計算:「×3」の掛け率では赤字になる理由

原価率の掛け率計算では人件費、光熱費、ロスが無視されます。パン屋・ケーキ店で本当の販売価格を算出する方法を解説します。

7 分で読めます
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掛け率方式とは?

掛け率方式は、パン屋やケーキ店で最も広く使われている販売価格の決め方です。原理はシンプルで、原材料費に固定の倍率(通常は3倍、場合によっては3.5倍や4倍)を掛けます。

例:あるケーキの原材料費が4.20 EUR。掛け率3倍なら販売価格は12.60 EURになります。

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なぜ3倍の掛け率では損をするのか

掛け率方式は原材料費しか考慮しません。以下を完全に無視しています:

  • 人件費:デコレーションケーキは45分の作業が必要ですが、シンプルなタルトは15分。3倍方式では同じ扱いです。
  • 光熱費:長時間の焼成(ブリオッシュ)、急速冷凍(ミラーグラッサージュ)など。
  • ロスと歩留まり:蒸発、生地の端材、失敗品。
  • 固定費:家賃、保険、設備の減価償却。

結果、シンプルな商品(パン、クロワッサン)は割高に、手間のかかる商品(デコレーションケーキ、ウェディングケーキ)は割安に設定されます。最も手間がかかる商品で損をしていることになります。

ポイント

掛け率からフルコスト計算に切り替えた店舗は、平均して全商品の20~30%が原価割れで販売されていたことに気づきます。

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正しい方法:フルコスト計算

フルコスト計算では以下を合計します:

  1. 原材料費:各材料の実際の価格(ロスと歩留まりを差し引いた後)。
  2. 人件費:製造時間 × 社会保険料込みの時間単価。
  3. 固定費の配賦:家賃、減価償却費を商品ごとに配分。

販売価格 = フルコスト ×(1 + 目標利益率)。職人パン屋では一般的に、総コストに対して25~40%の純利益率を目指します。

この方法は準備に時間がかかりますが、すべての商品が個別に採算が取れていることを保証します。

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具体例:レモンメレンゲタルト

8人分のレモンメレンゲタルトを例にとります:

原材料費4.80 EUR
人件費(40分 × 時給22 EUR)14.67 EUR
光熱費(オーブン35分)0.95 EUR
固定費(配賦分)2.10 EUR
フルコスト22.52 EUR

原材料費に3倍を掛けた場合:販売価格 = 14.40 EUR。1台あたり8.12 EURの赤字です。

フルコスト+純利益率30%の場合:22.52 × 1.3 = 29.28 EUR。ようやく採算が取れます。

ポイント

LogiBakeは各レシピの製造原価を自動計算します。原材料費とチームの作業時間を統合して算出します。掛け率は参考値としてのみ表示されます。

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顧客を失わずに掛け率からフルコスト計算に切り替える方法

全商品を一度に値上げするのはリスクがあります。段階的な方法をご紹介します:

  1. 売上上位10商品を特定し、実際の製造原価を計算します。
  2. 原価割れしている商品を見つけます(多くの場合、デコレーションケーキやウェディングケーキ)。
  3. 段階的に値上げ:3か月ごとに5~8%ずつ、割安になっている商品から。
  4. 伝え方を工夫する:素材の品質、手づくりの技術、職人の技。お客様は価値を理解すれば、適正価格を受け入れます。
まとめ

掛け率方式は一見シンプルですが、手間のかかる商品ほど損失を生みます。フルコスト計算はそれほど複雑ではありません。単に、お店の現実に対してより正直な方法です。

LogiBakeはあなたの技術に取って代わるものではありません。

その技術を最大限に活かすためのツールを提供します。