パティスリーの原価率計算:「×3」の掛け率では赤字になる理由
原価率の掛け率計算では人件費、光熱費、ロスが無視されます。パン屋・ケーキ店で本当の販売価格を算出する方法を解説します。
掛け率方式とは?
掛け率方式は、パン屋やケーキ店で最も広く使われている販売価格の決め方です。原理はシンプルで、原材料費に固定の倍率(通常は3倍、場合によっては3.5倍や4倍)を掛けます。
例:あるケーキの原材料費が4.20 EUR。掛け率3倍なら販売価格は12.60 EURになります。
なぜ3倍の掛け率では損をするのか
掛け率方式は原材料費しか考慮しません。以下を完全に無視しています:
- 人件費:デコレーションケーキは45分の作業が必要ですが、シンプルなタルトは15分。3倍方式では同じ扱いです。
- 光熱費:長時間の焼成(ブリオッシュ)、急速冷凍(ミラーグラッサージュ)など。
- ロスと歩留まり:蒸発、生地の端材、失敗品。
- 固定費:家賃、保険、設備の減価償却。
結果、シンプルな商品(パン、クロワッサン)は割高に、手間のかかる商品(デコレーションケーキ、ウェディングケーキ)は割安に設定されます。最も手間がかかる商品で損をしていることになります。
ポイント
掛け率からフルコスト計算に切り替えた店舗は、平均して全商品の20~30%が原価割れで販売されていたことに気づきます。
正しい方法:フルコスト計算
フルコスト計算では以下を合計します:
- 原材料費:各材料の実際の価格(ロスと歩留まりを差し引いた後)。
- 人件費:製造時間 × 社会保険料込みの時間単価。
- 固定費の配賦:家賃、減価償却費を商品ごとに配分。
販売価格 = フルコスト ×(1 + 目標利益率)。職人パン屋では一般的に、総コストに対して25~40%の純利益率を目指します。
この方法は準備に時間がかかりますが、すべての商品が個別に採算が取れていることを保証します。
具体例:レモンメレンゲタルト
8人分のレモンメレンゲタルトを例にとります:
| 原材料費 | 4.80 EUR |
| 人件費(40分 × 時給22 EUR) | 14.67 EUR |
| 光熱費(オーブン35分) | 0.95 EUR |
| 固定費(配賦分) | 2.10 EUR |
| フルコスト | 22.52 EUR |
原材料費に3倍を掛けた場合:販売価格 = 14.40 EUR。1台あたり8.12 EURの赤字です。
フルコスト+純利益率30%の場合:22.52 × 1.3 = 29.28 EUR。ようやく採算が取れます。
ポイント
LogiBakeは各レシピの製造原価を自動計算します。原材料費とチームの作業時間を統合して算出します。掛け率は参考値としてのみ表示されます。
顧客を失わずに掛け率からフルコスト計算に切り替える方法
全商品を一度に値上げするのはリスクがあります。段階的な方法をご紹介します:
- 売上上位10商品を特定し、実際の製造原価を計算します。
- 原価割れしている商品を見つけます(多くの場合、デコレーションケーキやウェディングケーキ)。
- 段階的に値上げ:3か月ごとに5~8%ずつ、割安になっている商品から。
- 伝え方を工夫する:素材の品質、手づくりの技術、職人の技。お客様は価値を理解すれば、適正価格を受け入れます。
LogiBakeはあなたの技術に取って代わるものではありません。
その技術を最大限に活かすためのツールを提供します。